Your smile once again

「……いません」
「お前いい加減にしろよ、ヤマ!チビ!」

笹原が山口くんの頭を掴む。


「はぁ⁉︎洸だって中学ん時は、俺と同じくらいだったろ‼︎」
「昔は、な。今は違うだろ」
「やっぱ二人のコンビはおもしれーや!」


五人は楽しそうに話しながら私の前を歩く。


……あれ?笹原ってこんなに歩くの速かったっけ?


私は早足になってしまう。


「ああ、悪い佐々木」
笹原が気づいて、私の隣に来た。

いつもの、速さだ。


------いつも、合わせてくれていたんだ……。


笹原の見えない優しさに、一つ気づいた。


「洸はやっぱ優男だなー。

昔からちょーモテてたし」
と、内田くん。


「でもよ、彼女は全然作んなかったよな」

「あー、確かに。

あっ!でもほらあいつがいんじゃん。

みずし-----」

「ヤマ‼︎」


言いかけている山口くんを、笹原は遮った。


山口くんは、笹原を見上げて、心配そうに言った。

「やっぱりあいつとは……」
「ああ。卒業してすぐ」
「そっか、わりぃ」


山口くんは何を言いかけていたんだろう。

笹原はなぜそれを遮ったんだろう。

笹原の……元カノ、の話、だよね。


その後は、また明るい空気で話が続いた。