「あっ、いたいた!笹原〜」


私は廊下をゴミ箱を持って歩く笹原に声をかけた。

ゴミ捨てを押し付けられたらしい。


嘉島くんに頼まれたことを伝え、私たちは二人で学校を出た。


向かうは学校から二十分ほど歩いたところにある、ホームセンター。


「あっちーなー」


笹原がワイシャツを捲りながら言った。

「そうだね」

私も袖をあげる。


「文化祭のおかげで部活オフになるんだよな」
「準備あるしね。ジャージ登校もありになるね」
「だなー。ま、新人戦終わったばっかで試合もないからいいんだけどさ」


他愛のない会話に花を咲かせる私たち。

と、その時不意にお互いの肩が触れた。

「っ‼︎」


いつも、一緒に帰っていると、良くあることなのに……。

体育祭の日からやっぱり私は変だ。

そういえば、体育祭やらテストやらで、最近はのんびり二人で歩くってなかったな。

こうしているのも、久々だ。


なんてぼんやり考え事をしてると、額が何かにぶつかってしまった。


目の前には電柱。


これに当たったのになぜか痛くなかった。

「あぶねっ!大丈夫かよー」

笹原は私がぼんやりしていたのに気づいていたらしく、手でかばってくれていた。

「うわっ、ごめん」
「気をつけろよ!」

笹原が呆れた顔で笑う。私はその顔を直視できなくて、目をそらした。