「おっ、おいっ‼︎泣くなよ」

違う……。

柊真に言われたことが悲しかったんじゃない。

柊真が、私がまだ葵の事を好きだと思っていることが、悲しかったんだ……っ。

私……。


柊真が好きなんだ……。


「言い過ぎた。ごめんな。
悪かったって」

柊真が必死で謝ってくる。

「葵が佐々木の事好きでいるように、お前だって葵の事好きなんだもんな」
「違うよ‼︎」


私は叫ぶ。

「私はっ、葵の事が好きなんじゃないっ……」
「怜音?」
「好きっ……」

溢れ出す思いが、止まらなくて。

それと同時に涙も止まらない。

震え声だけど、伝わったかな。

聞こえたかな。


「柊真がっ、好きなの……」

柊真が息を飲んだ。

沈黙。


「なんだよ……。

俺、バカみたいだな……。


一人で嫉妬して怒って……」

「しゅっ、」


柊真。
言い終わる前に、目の前が真っ暗になった。

柊真の腕の中。

「俺のタイプはさ、背が高くて足が長くて髪が綺麗で、大人で年上の女なんだけど……。
怜音とは正反対なのに。
それなのに、お前の事が気になって仕方ねーんだよ」
「……」

「あーっ‼︎
ほんと俺どーかしてるわ」

ぎゅうっ、て強く抱きすくめられる。

「俺も、怜音が好きだ」


その言葉に私の思考は一瞬停止する。

「俺と付き合って」
私は顔をかばっとあげた。


そこには柊真の笑顔があった。

「……うんっ!」

私も微笑み返した。