ー 夜 ー 『えぇっ、笹原くんとケンカしたぁ? あの後大変だったんだね……』 「……それってケンカって言うの?」 電話口で香澄が驚いた声を出す。 『ケンカでしょー!』 私は、感情的になったことが急に恥ずかしくなって、ベッドに倒れこんだ。 私が電話で誰かに相談するなんて。 ちょっと驚いている。 「うぅ……」 『……どーするのー?』 私は枕を抱き締めた。 窓の外はもう真っ暗だった。 「どうって?」 『このままで、いいの?』 「……ヤダ」 『ふふっ』