Your smile once again

「よく聞きなさい。

洸は、皆の物なの。

だから、あんたが独り占めすんなってこと。

わかる?」
「わからない……」


ああ、ここで嘘をつけばいいものを。

私は本音を隠せなかった。

「わからない!あなた達が、言っていること、全部!全部よ。

笹原は皆の物、なんかじゃ、ない!

笹原は……。笹原の、物だ」

私は、かすれる声を振り絞って言う。

そろそろ意識が飛びそうだ。 


ガァンッ。


何が起きたのかわからなかった。

ただ、右足がひどく痛んだ。

足元に転がる、椅子。

これを投げたの……?

「何避けてんだよ!」


この人、狂ってる……。

「ね、ねぇ珠理奈。やめよ。何か、佐々木変だよ!」
「うるさい。避けるなよ!」


珠理奈が椅子を高く振り上げた。

逃げようとした瞬間、発作の波。

どうすることも出来ずに、目をつぶって発作に耐えた。