「はぁ……こんな早くちゃ会えないじゃん」


彼女に会ってから、それまでより3本ほど遅い電車に乗るようになっていたオレに、今朝母親の雷が落ちた。


最近たるんでる!……だの、
2年生の初日なんだから気を引き締めてさっさと行け!だの……。


歳のわりにだいぶ若く見える母親。


そのパワーは朝から並大抵のものではなく、オレはかなり早くに起こされたのだ。


別に遅刻してるわけじゃないんだしいいじゃん。


心の中の訴えは、母親の鋭い目線によって封じ込まれた。



「……はぁぁ」


何度もため息を吐きながら、駅までの道のりをトボトボ歩く。


彼女に会えないと思うと気分も沈む。


ただでさえ、春休み中会えなくてソワソワしていたというのに――…。



それくらい、オレの中で彼女の存在は大きくなっていた。