バタン、と向かいのドアが閉まったのを確認してあたしは部屋を出た。 静まり返る玄関前。 さっき、二人がいた場所─…。 ドアノブに手をかけたまま思わず止まってしまっていた時間が、何時間にも感じられた。 あたしは 誰にも聞こえないように静かにゆっくりとドアを閉め、鍵をかけると 足早にその場を去った。