「なんで家に上がんなきゃいけねぇんだよ」 「理由なんて別にないわよ」 あまり聞き慣れない蓮くんの口調に、二人の関係を疑いたくなる。 やっぱり、付き合ってるのかな…? 考えたくなくても、ドア越しに聞こえる二人の会話はなんだか仲が良さそうで。 少し、視界が滲んだ。 慌てて零れそうになる涙を引っ込める。 ドアを開け、出ていきたい。 自分の夕食の買い物だってある。 でも、出来なかった。 踏み出そうとすれば涙が溢れたから。