「蓮!」 聞こえた声に顔を上げる。 暗くてよく見えなかったが、アパートの下に人影が見えた。 「……華絵」 手を振り近付いてきたのは華絵だった。 「家、上がっていい?」 「…華絵」 「ん?」 「言ったよな?無理だって」 腕に絡んだ華絵の手を引き離す。 「陽菜を不安にさせたくないんだ」 「ハルナ?…彼女さん?」 「あぁ。だからうちまで来たりしないでほしい」 真っすぐに華絵を見る。 「…なんで?」