「いってらっしゃい」 「おう」 「気をつけてね」 あっという間にお昼がきた。 午後から取材が入っているという、相変わらず忙しい蓮くんにお昼ご飯を御馳走して 時間になった蓮くんを見送る。 「いってらっしゃいのチューとかないの?」 「え!?」 当たり前のように言う蓮くん。 あたしが困惑していると─。 ─チュッ リップ音をたてて、頬に触れた唇。 「いってきます」 蓮くんは、ニッと口の端を上げ去っていった。 あたしはしばらく頬を押さえたまま、動けなかった。