「…やっ…」 こういうことをされると、苦しくて 脳裏をかすめる存在が邪魔をする。 「蓮くんは…、あたしなんかといるべき人じゃないよ…」 「…いるべき人って何だよ」 「蓮くんには…もっと、素敵な─…」 ──チッ 小さく鳴った舌打ち。 それが聞こえたときにはもう あたしの唇は、蓮くんの唇によって塞がれていた。 「い、やっ…」 キス─されると、つらい。 忘れられなくなるから─…。