『うりゃぁぁぁあ!!』
ーバタンッ…
僕の目の前で、男が血を流し倒れた。
一瞬の出来事で、頭がついて行かない。
「涼太ーーー!!」
え?
「涼太くんっ!」
この声…
「りょうちゃーーん!!」
なんでみんな、ここに??
しかも、ボロボロで…
「涼太、お前の知り合いか?」
ボスが鋭い目つきで聞いてきた。
声が出ない……僕は、この人に怯えているのか?
「おい、涼太!てめーここで何やってんだ」
麻人の手には、ボロボロのフライパン。
ああ…麻人がフライパン野郎だったのか…なんて考えていた。
「…黙ってねーでなんとか言えよ!!」
麻人は、いつも以上にイライラしている。
「僕は……」
すると、ボスが僕の言葉を遮った。
「お前ら、ここを何処だと思ってんだ?あんまり暴れないでくれよ」
「…あんた、うるさいわねえ〜」
リンさん??……あの仮面は、リンさんだ。
狐のような顔をした、スマートな仮面。以外と外見はおかしくない。
「あ?…誰に口聞いてんだ?お前、何処のどいつだ?」
リンさん、それ以上言ったら…
「あんたこそ、何様よ!うちのりょうちゃんに手を出して……許さないわ!」
おお…言っちゃったよ…
昔から、この人はこう言う所があるからなあ……
「俺は、こいつが働きたいって言うから金をやっただけだ。」
「そんな事、今はどーでもいい!!俺は涼太を連れて帰る……それだけだ!!」
2人の間に入り、大声を上げる麻人。
「へえー。帰さねーよ」
「上等だぁぁぁ!!俺よりつえー奴はいねえ!!」
本当にバカだ。
やってる事がムチャクチャずぎる…
「……もう、いいよ」
本当に、もういいんだ。
僕が弱いから、みんなを巻き込んで……迷惑をかけてしまった。
「全部、僕のせいなんだ…」
「何言ってるの、りょうちゃん!!りょうちゃんは悪くないわ!」
「違う……僕はお金が欲しかったんだ」
みんな黙りこんでしまった……それどころか、みんな目を見開いて僕を見ている。
バカのように威勢をあげていた麻人まで…
まあ、こんな事言うんだから、当たり前か。

