虚ろな目をした佳君を、部屋に連れて行く。
「…はぁ……熱いっ…」
たくさんかけてあげた布団を、どかそうとしているのだろう。
「だめだよ、ちゃんとかけとかなきゃ」
何度目かで断念し、やっとおとなしくなった。
それにしても、佳君の部屋って
本当に何もないんだなあ…
ーゴトゴトッ!
「ひっ!!!」
急に物音がした。
「グイン……ガチャッ…ごごご…しゅ…じ……」
何事!?……怖いんだけど。
「佳君、佳君っ…!!」
必死に起こそうとするが、熱があるのでボヤ〜っとしている。
「…ガダンッ……ごごご…」
もう…何なのよー!!
この音は、押入れから聞こえているらしい。
「…よし!!」
覚悟を決めた……そーっと押入れに近づく。
ーバタンッ!!
誰かが勢いよく部屋に入ってきた。
そして、私を押しのけ押入れの前に立つ。
思いっきり戸を開けた。
「黙れ!!」
ポカーんと、目の前の状況を把握できないでいる私。
彼の影でよく見えないが、中にあったのは…
「人…?」
人?いや、そんなはずは…
「あ″?…てめー誰だ?」
睨まれた!
「えーっと僕は、佳君のお見舞いに…」
目力が、半端ない……つい、目を逸らしてしまった。
「ふーん…」
この人も佳君の兄弟かな?
なんか、不良ばっかり…

