あいつの財力よりも、先輩の方が上だし、ルックスだって比べるまでもない。

それでもあいつが頭から離れないのは…まだ好きなのは、あいつが優しすぎたせいだ。

きっともう、あいつ以上には出会えない。


涙は止まらないし、止められない。

あたしの心はあの日からずっと台風が居るみたいに荒れていて、土砂降りだ。

あいつの声も感触も、みんなみんな覚えている。

怖いくらいに。


あたしはどんよりとした気持ちと、女子の視線を振り払おうとふるり首を振った。

ちょうど水溜まりに写った空に雲がかかるのが見えた。



今日は午後から雨になるでしょう。

ニュースキャスターの声が脳裏に蘇る。
急いで洗濯物をとりこまなければ。