走って走って、いつの間にか見慣れた道が出て来た。
今日はよく走る日だ。
「…あ!いたぁ!サクヤちゃん」
顔を上げると目の前には、
「…千、さん」
「お父さんが『サクヤちゃんが出てった』って言うもんだから心配になっちゃったじゃない」
心配、してくれたんだ…。
「…すいません」
「ま!ちゃんと帰ってこれたみたいだし、何にもなくて良かったわ」
『さ、帰りましょ』千さんはそう言いながら私の右手を掴んで歩き始めた。
千さんの手は柔らかくて暖かかった。
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