俺たちを乗せた車は、病院からスタジオへ。 今日は撮影をするわけじゃないんだけど、 復帰と報告をスタッフさんにするらしい。 まだ不機嫌な気持ちを残し、車を降りた。 「あっ、龍斗だ」 長く続く廊下を歩いていると、あちこちからスタッフの声が聞こえる。 堂々と大きい声を出すわけでもなくボソッと小さく。 その声に対して、笑顔を作り、軽く頭を下げていく。 これも俺の仕事でもあるから、何にも言えないけど。 正直言うと、めんどい。