暗闇の奥から聞こえる足音が、だんだんと迫ってくる。

黒光りするスーツを隠すように、濁ったローブを体に這わせている。

それに似合わない白い肌と、薄い金髪だけが、ささやかに光っているように見えた。

たとえそうでなくとも、暗闇に慣れた私の目は、一人の男を映し出していた。

「食事だ。」

カタン。という音と共に、低い声が響いた。

「残したらまた外だ。」

とだけ言い残して男はここを立ち去った。

おそらく明日もまた、心に穴が空く。