**side美織**

伊織とクラスが一緒。

でも、遠い。

あたしは、一番後ろにある自分の席に座る。

授業中も、伊織の姿がよく見える。

寝ているのかも、ノートをとっているのかも、友達と話しているのかも…

[なに見てんの?]

その声に慌てて、声がした方に顔を向ける。

あたしの、隣の席の北島庸介だった。

明るく、スポーツも出来てモテる方だった。

やたらと、話しかけてくる。

嫌いじゃないし、伊織と仲がいいから別にいい。

[好きなやつでもいんの?]

率直の質問で、自分の動きが止まる。

[図星かぁ(笑)]

庸介は、意地悪そうな顔でからかってくる。

でも、ほんとのことだから、何も言い返せない。

[ほんとのこと言ったら?(笑)]

[好きな人いないしっ!]

こんなやつに、バレたら毎日からかわれるのに違いない。

[嘘だな、いるだろ。]

なんで、こんなにも勘が優れているのだろうか。その能力分けてほしいぐらい。

[ま、いいよ。当ててあげるから(笑)]と言い、教室から出ていってしまった。

さすがに、バレたら大変だ。

おそらく、まだバレてないだろう。