私は、桜の木に行きたくなり朝は早起きした。





お母さんも仕事に行って、今は家にひとりだから理由なしで家を出れる。





「よしっ!行くか」





家を出て、桜の木まで行った。





あれ…?桜の木の下に誰かいる…?





近くまで行ってみると、中学生っぽい男の子が桜の木を眺めていた。





一瞬…あの男の子が響也に見えたのは何故だろう…?





私は思い切って、男の子に話しかけた。





「あなたもこの木が好きなの?」





男の子はこっちを見て一瞬驚いた顔をしていたけど、気のせいだろう。





「あ、あぁ。俺にはこの木は神様みたいなもんだな…」





男の子は桜の木を懐かしげに見てた。





「そうなんだ。私もだよ。ここで初恋の人と出逢ったの。もう…いないけどね」





私は、なんでかわからないけどこの男の子になら話してもいいやと思ってしまった。





「もう…いないって…?」





「小6の頃にね、初恋の人が交通事故で亡くなったの。私は…今でもその人のこと…好きなの」





男の子は私に同情してくれてるのかな。
私の顔を真っ直ぐ見つめてる。





「私も未練たらたらの女でしょ?けどね…やっぱり、あの人しか好きになれない」