触れたくもないというようにケイが身体をすり抜ける。

「やっぱり俺のこともソウイウ目で見てたん?信じてたのにショックやわあ」

 わざとらしく肩をすくめながら言葉を紡ぐケイに、ショックを隠しきれなかった。
 
「ケイ・・・?」
「最後やし教えてあげるな?俺、束縛してくるやつと頼んでもないのに恩着せがましいやつが大っきらいやねん。ふふ、やけに具体的やろ?」

 フッと表情を変えた目の前の顔と、いつだって笑顔だった記憶の中のケイが同一人物だとはとても信じられず、思わず叫んだ。

「うそ、嘘よ!だったらどうして戻ってきたの!?私に未練があったからよね、そうでしょう!」
「・・・蝶子さん」

 頭に血がのぼったのなんて何年振りだろう。これ以上は言わない方がいい、そんなことわかってるのに、開いた口は禁句まで叫んでしまった。

「誰が拾ってあげたと思ってるの!?」

 パァン!

 鋭い音と痛みが顔面を駆け抜け、衝撃でその場に崩れ落ちる。

「・・・ここまでアホな人やったんやね、蝶子さん。久々にいらついたわ」

 ケイが端末から誰かにメッセージを送るのと、階下から足音が聞こえてきたのはほぼ同時だった。