ホテルから出た時には もう周りは薄明るかった 「帰らなきゃ、ね…」 誰に言うでもない独り言をつぶやき、 そっと首筋をなぞると 男の指の感触を思い出し、ぞくりとする けれどその快感のあとにやってくるのは 今までは感じることのなかった、虚しさ 「…」 そして、ふいに気付くため息の多さ 思わず首を振りたくなる いやだいやだ、こんな感情… 考えを打ち消すように足早に歩き、 けれど、ふと足が止まった