「失礼します」 ノック音と共に看護士が部屋の中へと入ってきた。 「えっ?……あれ?……」 看護士は目の前の状況が理解出来ず、何度も花菜と入り口のネームプレートを見比べた。 そして、事の状況を掴むと、胸ポケットに入っていたPHSで電話を掛け始めた。 「すみません、院長先生。至急雨宮花菜さんの病室にお願いします。……はい。目覚めたようです」 そう電話をすると、数分後に院長先生である淳平の父親が病室へとやって来た。