「ねぇ、奏くん。私との約束を守ってくれた奏くんだから、そんなことはないと信じたい。だから聞くけど…」
「野上麻衣…だろ?」
「…うん」
「その件ならもう解決した。全部アイツの狂言だ」
「えっ?」
花菜はまさか自分が聞きたかったことの返事が直ぐ返ってくるとは思わず、驚いていた。
そして、まさか自分の知らない間に解決していただなんて思いもよらず、困惑するばかりだった。
そんな花菜の様子を見た奏大は、花菜の頭をポンと撫で、微笑みながら話を始めた。
「今までお前に辛い思いをさせて悪かったな…。全部穂波から聞いた」
「えっ?穂波ちゃん??」
「…あぁ。穂波は俺の妹なんだ」
「えぇーーっ!…そういえば、穂波ちゃんの苗字…西條だった」
「……今、気付くか?」
「だって、奏くんに妹がいるなんて知らなかったんだもん」
「あぁ…あまり家族の事は話さなかったからな」
「ねぇ、奏くん。これからはさ…ちゃんと包み隠さず、何でも話そう?」
「…そうだな」
隠さず何でも話そうと花菜が提案したことに、奏大は嬉しそうな表情を見せた。
そして、花菜のことを抱きしめると、お互いに色々なことを話し始めた。
まるで今までの10年間を埋めるかのように…。

