しばらく抱き合っていた2人だったが、奏大が落ち着きを取り戻すと、寝たままの状態だった花菜を起こし、話を始めた。
「花菜…どこまで思い出したんだ?」
「全部思い出したよ。奏くんと過ごした日の事全て…」
「そうか…」
花菜のことばに、奏大は嬉しそうに微笑んでいた。
「ごめんね。10年前、奏くんの事をちゃんと信じてあげられなくて記憶をなくしちゃって…。そして今回の事もちゃんと奏くんに相談してたらきっと追い詰められなかっただろうし、また奏くんの記憶がなくなるっていう事は起きなかったと思うの。まぁ、今回は未然に防ぐことが出来たけど…」
「!…それは、どういうことだ?花菜が目を覚まさなかったこの一週間の間、何があったんだ?」
「私、一週間も目を覚まさなかったの?」
「あ、あぁ…」
「そっか…そんなに寝ていたんだ…」
奏大は、花菜からこの一週間眠り続けていた間に起こった夢の中の出来事を聞いた。
最初は驚いていた奏大であったが、最後までしっかりと花菜の話を聞いていた。

