全てを聞き終わると、会長は口を開いた。 「あの時親父たちに言えなかったのは、直前で言ったら混乱すると思ったんだ」 「そうだったのか…」 「奏大の思いも知れたし、親父もう良いだろう?」 「あぁ…そうだな」 「まさか、奏大がこんなに一途な男だったなんて、驚きだな」 「………」 社長は、笑ながら奏大のことを見ていた。 笑われたことが嫌だったのか、奏大は眉間に皺を寄せていた。