その頃奏大は、花菜に部屋の案内をしていた。
「最後に、ここが寝室だ」
「もしかして…一緒ですか?」
「あぁ…」
奏大がそう言うと、花菜は黙り込んでしまった。
そんな花菜を見た奏大は、安心出来るように頭に手を乗せた。
「心配するな。今はお前を取って喰おうだなんて気持ちはない。もしお前が嫌なら…」
「大丈夫です。男の人と一緒に寝るのって、創くんやりっくんぐらいしかないから緊張してるだけなので、別に嫌とかではないです」
「……そうか…」
花菜の言葉に軽く嫉妬を覚えた奏大。
もし、花菜に昔の記憶があれば、きっとそこに自分の名前も上がったであろうことに、何とも言えない気持ちになっていた。
しかし次の瞬間、奏大の気持ちを知ってか知らずか、花菜が嬉しい言葉を言ってくれたのであった。

