「なぁ、奏大」

「……何だ?」

「俺さ…ちょっと怖いんだ。もしかしたら、花菜がまた記憶を失くしてしまうんじゃないかって…。そして、今度は俺たちの記憶も失くしてしまうんじゃないかって怖いんだ」

「創…」

「本当はこんなこと考えたくないんだけど……きっと過去のことがトラウマになっているんだ」








そう言った創の顔は苦痛な表情を浮かべていた。









「創…花菜はきっと目を覚ます。記憶も失くさない。俺たちが信じないで一体誰が信じるんだ?」

「奏大…」

「大丈夫だ。花菜は目を覚ます」

「……そうだよな。弱気になって悪かったよ」








2人の願いは虚しく、花菜はその日に目を覚ますことはなかった。