奏大が副社長室に着くと、タイミング良く受付から内線がかかってきた。
「はい、副社長室の雨宮です。………えぇ、わかりました。副社長とアポイントメントある方ですので、お通ししてください」
そう言うと、創は電話を置いた。
「野上麻衣が来たようだ。案外、早かったな」
「あぁ。……創、淳平」
「……」
「何?」
「お前らはこの場にいても良いが、口は出すな」
「わかった」
「はぁ!?何でだよ!花菜ちんを傷つけた奴だぞ?」
「だから、俺がけりをつける。口出しするなよ、淳平」
「ちぇっ…」
奏大は不服そうな淳平に念を押した。
自分も何か言ってやろうと思っていた淳平だけに、納得が出来ず、あろうことか副社長である奏大のデスクの椅子に腰掛け、椅子を左右に動かしていた。
そんな淳平の姿に、創は苦笑いしながら見ていた。

