「いやー、西條くん。こんなところまで来てもらって、悪かったね。私がどうしても帝王ホテルで外せない用事があってね」

「いえ、それで要件は?」

「いやな、姪っ子の麻衣が君と同級生ってことを聞いて、しかも麻衣は君のことを気にっているというじゃないか。なら、可愛い姪っ子の為にと思って今日、君をここに呼んだってわけさ」

「………」








奏大は何も言わず、野上麻衣を睨みつけた。
しかし、当の本人はそんなことは気にしておらず、奏大にニコリと微笑むのであった。









「特定の相手がいないのであれば、どうだね?うちの麻衣と婚約なんて…」

「申し訳ありません。私には心に決めた女性がおりますので、そのようなお話は…」

「そうか…。君なら麻衣の相手に申し分ないと思ったんだが、君に相手がいるなら仕方ない」

「そんな、叔父様!話がちが…」

「麻衣。悪いが、こんな幸せそうな西條くんと相手の方を無理矢理引き離すことは私には出来ない。別の人を探しなさい」

「そんな…」

「西條くんも悪かったね。今日はもう帰ってもらって良い。今度は、プロジェクトが成功した時に会おう」

「はい。では、失礼します」








そう言うと、奏大と創は部屋から出て行き、車に乗り込んだ。