それから一週間が経ち、何事もないかのような平穏な日常だと思っていたが、実は巧妙な手口で着々と奏大と花菜の仲を引き裂く行為をしている者がいようとは、誰も気付いていなかった。










「副社長。急遽、これから帝王ホテルで、新プロジェクトで業務提携をしている社長と野上麻衣とで打ち合わせが入りました」

「何?何か問題があったのか?…しかし何故、野上麻衣が?」

「さぁ、問題があったとは何も聞いてないが…。俺たちが同級生だということを社長が知ったらしい。調べたところ、野上麻衣と社長は、叔父と姪っ子の関係らしい」

「………」

「きっと今回の件だって、何かしら企みがあるんじゃないかと推測される」

「厄介だな…」

「まぁ、あちらの社長は大丈夫かとは思うが、何せ相手が野上麻衣。疑ってかかった方が懸命だな…」

「わかった。…淳平は…」

「花菜のお迎えの時間だから、俺が車を出す」

「あぁ、頼んだ」








そう言うと、奏大は創が運転する車で帝王ホテルまで向かった。