恋愛論




「何が言いたいわけ?」


あたしの言葉を遮って由宇が聞く。


「仁美なら、由宇の支えになってくれる」


由宇の目を真っすぐ見て言う。


由宇もあたしの目を見ている。


「早紀が忘れさせてくれるんじゃなかったの?」


由宇が淋しそうな目で言う。


支えてあげたかった。


罪滅ぼしのつもりだった。


けど由宇を好きになったから。


もう無理だよ。


純粋に由宇を支えてあげるなんてできない。


自分のものにしたくなるから。


不釣り合いなのに。


由宇はあたしの汚れた部分を知ってるのに。


「早紀って呼ばないで。あたし今、凌と付き合ってるの」


由宇が驚いたような顔であたしを見つめる。


「畑中が好きなのか?」


そんな辛そうな顔しないで。


期待するから。


「あたしにとっての彼氏は、ただのブランドものと一緒なの」


由宇を馬鹿にしたような言い方をする。


昔の……少し前までの自分を思い出して。


「昔のブランドなんて興味ないし、今更いらない」