強い力で手を捕まれて。
足早に連れてこられたのはあまり人気のない校舎の端の空き教室。
中に入るとやっと腕が解放される。
「何で昨日来なかった?」
今まで見たことのない怒った表情。
「CDは返したじゃん」
あたしは言う。
すると由宇はさらに怒ったような様子で言う。
「持ってきてって言っただろ?」
「持ってきたでしょ?仁美が」
負けてられない。
今由宇のペースに填まったら、きっと本音が出ちゃうから。
「いい子でしょ?仁美」
黙り込む由宇に更に言い続ける。
「可愛いし、性格良いし。裏表なんてないし…きっと一途だよ。それに…」

