「知ってるよ。」

その言葉とその口調の優しさに驚いた私はパッと顔を上げた
顔を上げた先には遙がいて、
遙は困ったように眉を少し下げて笑っていた

その笑顔が優しくて、嫌いになったわけではないとわかった

「よかった...」

「何が"よかった"なの?」

そう言われて初めて、自分が言葉を漏らしていたことに気がついた

「遙に嫌われたと思ってたから...」

私が素直にそう言うと
遙は少し焦ったように声を大きくし

「そんなわけない!」

っと言った

「俺が柚乃を嫌いになるなんて...
ただ、柚乃と顔を合わせたくなかったんだ」

遙の声はどんどん小さくなっていき
最後の方はうつむいてしまって、ほとんど聞こえなかった

「じゃあ学校に来ないのは
私と会いたくなったから?
だったら、なんで今部屋に上げてるの?」

後から問い詰めるような形の質問をしてしまったことに気がつき慌てて

「ごめん。」

と謝った

「柚乃が謝ることないよ
柚乃が不思議に思うのも無理ない
俺の行動は矛盾してるから...」

そう言った遙は学校を休んでいた理由を
少しためらいながら話してくれた