「あーあ、たまにまともなこと言うよね、左之さんって。」
「あ?何がだ?」
あの時止めなきゃ、て気持ちと
何だかすごく楽しい気持ちがごちゃ混ぜになってた。
いつものがむしゃらに戦う稽古の気持ちが混ざって。
それにしても、小春ちゃんと雪継ができていたなんて。
それは少し悔しい。
雪継はきっと自分自身の知っていただろう。
それでも戦ったのは小春ちゃんを傷つけさせないため。
あんなにも弱いのに刃を抜いたのは、
小春ちゃんを護るため。
僕も、いつか、心の底から護りたいと思える人に出会えたらいいな。
「沖田さん!!」
「ん?どうしたの、桜ちゃん。」
「どうしたの、はこっちのセリフです!ずっとぼーっとして!」
「…少し昔のこと、思い出したんだ。」
まだ護りたいものが見えなかった頃の。
「ほら、桜ちゃん早く巡察いかないと怒られちゃうよ。」
そう、まだ僕には何もなかった頃の。
僕のことを不思議そうにじっと見つめる桜ちゃんに胸が少し苦しくなる。
「僕、大人になったな…。」
何となくそう感じた。
END

