「お前、こないだの!久しぶりだな!」
雪継はこちらへと駆け寄り、小春ちゃんはにっこりとこちらにお辞儀をして中へと入って行った。
もしかしたら小春ちゃんと話せるかも、なんて考えは甘かったな、と思いしらされる。
「…何。」
何やらずっと見てくる雪継にそう一言。
「いやー、お前ほんと強かったなって!どうしたらそんなに強くなれるんだよ?」
「そんなの幕臣なんだから剣術の師範にでも教えてもらいなよ。」
こいつは僕なんかよりもずっと強くなれる環境にいる。
なのに、どうしていちいち僕に聞くかな。
少し沈黙が続いたがすぐに雪継が口を開いた。
「俺、確かに幕臣伊庭家の子だけど俺は幕臣にはなれない。俺は伊庭も剣を持つことも許されてるけど、俺は幕臣にはなれないんだ。」
そしてまたひと段落おいてから、雪継はにかっ笑った。
「俺は側室にすらなれなかった女の子どもだからな!!」
ははっと笑うその笑顔の裏には一体何があるのか。
すべてを見抜くことは難しいけど何となくは感じ取れる。

