「あ、ここ私の家だから」

「へー」

「秋人の家に比べたら狭いけど」

なんて冗談めかして言うと、秋人は急に眉を下げてくっと苦しそうな顔を見せた。

え。
何で。

だけど、また秋人はすぐに笑顔を作ってわざとらしく笑う。


「俺ん家、泊まりたかったらいつでも来てねー。部屋余ってるし」


その笑顔が痛々しかった。
…私は何か、秋人の踏んではいけない領域に踏みこんでしまったのかもしれない。


「じゃ、明日また学校でね」

「あ、ありがとう」

踵を返して帰ろうとする秋人に私は慌ててそう声をかける。
秋人は顔だけ振り返ると

「どーいたしまして」

そうやってにかっと笑った。


家に帰ると、お母さんから遅いと少し小言を言われたけども。
だけど、やっと安心できると言うか。
肩の荷が下りると言うか。

とにかく、彼等といるのは疲れた。


すぐにご飯を食べて、お風呂に入ると私はベッドに潜り込む。
一分も経たずして私は夢の世界へ誘われた。