「それで、色々合点いったっていうか」

「…そっか、知っちゃったんだ」

「え？」


秋人の手がすっと私から離れる。
思わず、視線を秋人に移してしまった。


無表情で私を見つめるその瞳。
ニコリともしてない。


ドクンと心臓が一度大きく跳ねた。


「無理に付き合ってくれてたんだ。こっちこそ、ごめんね。愛ちゃん」

「……」

「もう、大丈夫。だから、俺と一緒にいなくていいよ」

「え」

「……ごめんね」


また、秋人の顔が辛そうに歪む。
先に歩き出そうとする秋人。


「ちょっと待ってよ！」

「……」


秋人は聞こえてない振りをして、立ち止まる事なく歩いて行く。

私を拒絶する様な、その背中を私は見つめる事しか出来なかった。