「行こうか?愛ちゃん」

「……うん」

「そういえば、愛ちゃん。あいつには言ったの?」

「は?あいつ?」


誰よ、あいつって。
わけがわからなくて、秋人の顔をまじまじと見つめると秋人は肩を竦めた。


「愛ちゃんに告白して来た男」

「……」


シゲ。

忘れてた。

……わ、すれ、てたよ。私は。


すっかり抜け落ちてたよ。

シゲに返事しなきゃ、ってそう思ってたのに。




畜生。ちゃらおーずの所為だ。


「ちょっと、LINEする」

「誰に?」

「シゲ」

「何で」

「今日、話あるって」

「……」


秋人はもう何も言わなかったけど、代わりに私の手をぎゅうっと強く握り締めた。


【シゲ。今日、帰ったら電話する。】


…はあ、気が重い。



断るって決めてる。
でも、それを言うのはやっぱり辛い。


シゲの事、恋愛感情とかではないけど、好きだから。