「あ、あ、あ…」

「ん?」

「秋人のバカ野郎ーーーーーーーーー!!!!!!!」


そういうのはダメだって言ったのに。
最初に言ったのに。


気付けば私は思いっ切り、秋人の顔にパンチをしていた。


それは見事、ヒット。
こっちの手も痛い。


「い、った、痛い、愛ちゃん」


涙目でこっちを恨めしそうに見る秋人。
そんな秋人を放って、私は踵を返すと歩き出した。


油断してた。
かんっぺき。
油断しまくってた。

抱き締められるぐらいなら、仕方ないっていうか。
なんつうか。

まだ、許せたけど。

だけど、これは、もう。


くっそ、自分に腹が立つ。



めっちゃ動揺してる自分がいて、それにも苛立ちを隠せない。