「え?」


目をぱちくりとさせて、秋人の顔を見た時にはもうそれは済んでいて。


言葉が出ない。


秋人は一度、ちゅっと私の唇に自分の唇を重ねたんだ。



「え?」



現状が把握出来ない。
えっと。

今、キスされた?
ほっぺとかでなくて、唇に。


えと。

ぐるぐると頭の中を様々な思考が駆け巡る。



「愛ちゃんがそんな可愛い事言うから、したくなっちゃった」


秋人は悪びれずにそう言って舌を出す。
心なしか、仄かに顔が赤い。


「これは謝らないからね?」

「………」


や、ら、れ、た。



呆然と秋人を見つめる。
秋人は嬉しそうに顔を緩めるだけだ。

こいつ。
この野郎。