「…ごめんね」

「何が?」


少しだけ距離を開けて、気まずそうにそう言う秋人。


理由なんて、原因なんて、分かり切ってる。
だけど、私はわざとあっけらかんとした言い方で返した。


秋人はそれに困った様に笑った。


「…なんか、新ちゃん、カッコいいなって思ってさ」

「………」

「俺、敵わないって思っちゃった」


あははって笑う秋人。
だけど、その顔はまた泣きそうだ。


「何を」

「え?」

「…秋人が結城の何を気にしてるかわかんないんだけどさ。
咄嗟に私の為に切れてくれた秋人はカッコよかったよ」

「……愛ちゃん」


そう言ってから、なんか気恥かしくて秋人から目線をずらす。
繋がれた手。

秋人の指に力が入る。


私の顔に影が出来て、秋人が近付いて来るのがわかった。