「どこにいるんだろうね?俺、新ちゃんに電話するわ」
そうやって、秋人は携帯を出すと結城に電話をかけている。
秋人の肩で揺れている私のカバン。
「あ、新ちゃん?どこ?え?静かにって、いや。
…清ちゃん?うん、うん。わかった」
通話を終えてから、秋人は携帯をポケットに入れながら私を見る。
「駅前辺りにいるらしいよ。
どうやら店は特定したっぽい」
「そっか」
「愛ちゃん、本当にどうしたの?
…どっか具合悪い?行くのやめる?」
「あ、え?いや、ううん、大丈夫」
心配そうに顔を覗きこむ秋人。
誤魔化す為に大袈裟に手を振って見せるが、秋人はイマイチ信用していない。
「どうしたの?」
「何もないよ」
「…うーそ。何かあったでしょ。
俺には言えない?」
「………」
秋人。あんたにだけは言えない。
…言っていいのか、わからない。



