「だって、愛ちゃんと二人きりなのに、わざわざ行かなくてもいっかなって」


ストンと秋人は私の前に座ると、顔を近付ける。


「………」


自然と後ずさる私。


「何逃げてるの」

「…逃げるでしょ」

「ええ」


そう驚いた後、「どうして?」って、口の端だけ上げると、ゆっくりと私に近付く。

ここは秋人の部屋。
それをすっかり忘れていたのは私だ。

さっきの写真で全て飛んでいた。


「や」

「…や?」

「やっぱり行こう!瞬のとこ!」


私は強引に立ち上がると、カバンを持つ。



「ホラ、行くよ!秋人も!」

「…はーい」


少し不満そうに口を尖らせながら、秋人はのろのろと立ち上がる。
それから、私のカバンを肩から取ると手を取って握り締めた。