私は自分の手を何度も握り締めて、どうにか震えが収まった頃。


「お待たせー」


秋人が笑顔で登場した。
だけど、部屋に私しかいないのを見て目を真ん丸にする。


「あれ?皆は?」

「瞬に付いて行ったよ」

「あ、そか。結構時間経っちゃってたね。ごめんね、愛ちゃん、一人にして」

「ううん、携帯いじってたし。全然平気」


本当は、秋人の部屋を色々見てましただなんて言えない。
動揺を悟られない様に笑顔を作る。


「…何かあった?」


秋人って。
どうして。
どうしてこんな鋭いんだよ。

私がもしかしてわかりやすいの!?


「何が?」

「いや、何かちょっと様子おかしいなって」

「そんな事ないよ。それよりも瞬のとこ行かなくていいの?」

「ああ、うーん。どうしようか?」

「は」


秋人は腕を組んで首を捻った後、私に含んだ笑いを見せてそう言った。
それにポカンとする私。