「ねえ、ラブ、聞いてる?」
「…えっ?」
上の空だったらしい私に訝しげな顔で、結城は下から覗きこんでくる。
その距離が思ってた以上に近くて、顔をしかめた。
「全然ラブ聞いてないんだもん。
俺寂しかったー」
「ああ、うん。ごめん、で、何?」
「今日の話!」
「それで?」
「ラーブー、全く聞いてなかったのか!」
それから、瞬の前だというのに事細かに今日の説明を始める結城。
どうやら、瞬が出かけた後に付いて行くだけらしい。
変装しないとまずくない?って言う議論が今。
…私的に、うるさいだろうから即バレると思う。
変装して様が、してまいが。
瞬はぐっすり眠ってるらしく、寝息だけ立てて気持ちよさそうだ。
ムカつく程に。
「秋人さん」
急に襖の奥から、そう声がして私達はシンとなった。
秋人はベッドに座って壁にもたれかかっていたけど、体を起こすと返事をする。
「はい」
「お話があるんですけど、今よろしくて」
「…わかりました」
秋人は顔を強張らせると、立ちあがって襖へと向かって行く。



