くるっと、振り向くとそこにいたのは茶色い髪の毛を後ろに流した背の高い男の人。
かなり着崩しているけど…ここの制服だから生徒だろう。

顔も多分モテる部類ではないだろうか。


「あ、転校してきたんですが職員室がわからなくて…」

「え!転校生!?
だから見た事ない顔なんだ」

「はあ…」


いまいち言ってる意味がわからず、首を傾げながら彼を見る。

彼はにかっと笑うと、


「俺、案内するよ。職員室」

そう言った。



…のは、いいのだけれど。



「あの」

「ん?」

「どうして手を繋いでいるんですか?」


何故か、彼は私の手を繋いで歩き出そうとしていた。


「え?手?」

「いや、繋ぐ意味がわからないですよね?」

「そう?」

「はい。そうです、それに初対面です」

「ああ、そうだっけ。
でも、もう知り合いだからいいじゃん」

「………」


な、何この人。
意味がわからな過ぎる!!

私、名前も知らないけど。
それで知り合い?!


に、逃げた方がいいのだろうか。
うん、そうだ、逃げよう。



逃げようと覚悟した時。