「どうしたの?」
何も言わない秋人に首を傾げる。
すると、いきなり秋人が腕を引っ張って私を抱き締めた。
「秋人!?え!?」
突然の事に、思考停止。
何が起こった。
どうした、どうしてそうなった。
動揺してる自分を落ち着かせながら、秋人に再度尋ねる。
「秋人、どうしたのっ?」
ああ、声が上ずってる。
本当に、私はこういう事に免疫がない。
今朝も、抱き締められたけど。
それとは状況が違うというか。
秋人は依然として、黙ったままだ。
「……、秋人?」
流石にこれだけ黙っている秋人は、不安になる。
抱き締められてるから、顔すら見えないし。
「…明日、帰る時絶対連絡頂戴。
俺、迎えに行く」
「え?明日?」
「うん。駅まで迎えに行くから」
「いや、いらないけど」
「約束して。でないと、抱き締めたまま放さない」
はあ!?
放さないって、何!?
意味が分からないんですが!
唖然としながら、じたばたしてみせるがびくともしない。



