休み時間になると、やっぱり秋人がやって来る。
「愛ちゃん」
「秋人」
にっこにこして、私の隣に腰をおろしていた。
私の机に肘をつきながら、手に顎を乗せて私を見る秋人。
突き刺さる視線に、思わず苦笑いしか出来ない。
「今度さ、俺のバイクでどっか行かない?」
「嫌です」
「何で」
「前にも言ったじゃん、怖いって」
「それは信用してなかったからでしょー?」
「いや、そうだったけど…」
今も、完璧信頼してるかって言ったら違う様な。
でも、それは秋人には言えない。
きっと、秋人を悲しませるから。
「んー、じゃあ、最後ならいい?」
「……」
秋人の言う、最後ってのはきっと彼氏としての期間の最終日って事。
たまに忘れそうになる。
秋人が好きとか、そう思ってはいないけど、秋人が彼氏って事実が私の中で定着して来ているから。
まあ、キスとか、それ以上の関係がないくせに、恋人って何だよって思うけど。



