二人に背を向けると、私は自分の席に着く。
カバンを置いたら、
「雪村、おはよー」
そう声がかかった。
くるっと振り向くと、そこにいたのは窓際男子の一人。
「…タムっち」
「ぶは、タムっちってのは辞めてよ」
ああ、朝から爽やかだ。
タムっち。
田村ってのはわかってるんだけど、もう、タムっちにしか思えない。
ごめん、結城の所為で。
タムっちの黒髪短髪がキラキラしている。
真っ白な歯が口元から覗いていて、彼もモテるんじゃないかなあって思った。
「雪村は部活とかしねえの?」
「部活?」
そんなモノ、初日からの慌ただしさで、一ミリも考える暇がなかったわ。
「うちのマネージャーやれよ、暇なら」
「マネージャーって、タムっち、何部なの?」
「サッカー」
「…っぽいわ」
「何だよ、ぽいって」



