「ちょっとの間、こうしてていい?」

「……うん」


秋人は何を考えているんだろう。

わからない事ばかり。


秋人はニコニコ笑って、一見したら誰もを受け入れてる様に見えるけど。
本当は誰もを心の内側に入れてないんだと思う。

それは、きっと結城とか、本間とかも含めて。

どんなに仲良しでも、誰もを信用してないんだと思う。
そんな風に見せないのが秋人は上手いから。


「…ありがと。もう大丈夫」



私と秋人に隙間が出来て、そこに風が通り抜ける。
それがきゅうっと胸を痛めた。

普段とは違う秋人に、私もどうしたらいいのかわかってないのかもしれない。


「手は繋いで行こうか」

「え。愛ちゃん、積極的」

「…私を待ってて冷たくなったなら嫌だし」

「ふふ、うん。否定しないでおく」


素直じゃない私はこういう時にだって、何か理由が必要で。
憎まれ口を叩きながら、秋人の手を握り締めた。


まあ、秋人にはそんな私もバレているのだと思うけど。